医師はもはや聖職ではない

我々は「医師」であることを捨て、「医者」になる。
ニッポン医者の会は、人助けのもとに奪われてきた医者の権利を、取り戻すための会である。

ニッポン医者の会とは

「医師」とは、国家資格を持ち、専門知識と倫理を備えた医療のプロフェッショナルである。長らく社会からは、清廉で高潔な“聖職者”としての姿を期待されてきた。しかしその「聖職」の名のもとに、現場の過重労働や不当な自己犠牲が正当化され、多くの医療従事者が声を上げることすら許されなかった現実がある。

一方、「医者」という言葉には、やや俗っぽく、時に軽視や侮蔑のニュアンスすら含まれる。しかし我々はあえてその言葉を選ぶ。形式ばった肩書きや理想像を脱ぎ捨て、一介の労働者としての感情や声を取り戻すために。「医師」としての聖職性ではなく、「医者」としての現実を生きるために。

ニッポン医者の会は、人助けという大義名分のもとに長年奪われてきた「医者」としての当たり前の権利と尊厳を、取り戻すための会である。

ニッポン医者の会

記事一覧


代表からのご挨拶

さァ~て、始まりましたるは――
医の道を惑わす、あの悪しき事件の数々!

大野病院の悲劇!大淀病院の無念!
割り箸一つで崩れた未来、
立ち去り型サボタージュ
心の僻地」と呼ばれし現場……

これぞまさしく、医療崩壊の系譜!!

二十年、耐え、祈り、訴え続けてもなお、
迫るは冷たき政策の波。
志は踏みにじられ、白き巨塔も今は影……

されど!今こそ立ち上がる時!

患者の命を救うため!正しき医道を貫くため!
悪代官どもの医療費抑制、成敗いたすは我らのみ!

さあ諸君、声を上げよ!
取り戻さん、我が国の誇れる医療の灯を!!


労働環境の現実

日本の医者は今、過酷な労働に晒されています。
サービス残業、無償オンコール、そして「宿日直許可」という名の不当な連続勤務。
「働き方改革」の名のもとに、それら違法労働が制度として追認され、年間1860時間もの時間外労働が合法化されています。
「患者のため」という大義が、医師の人間性と生活を犠牲にする言い訳となっています。


現場の声を無視した制度改革

マイナ保険証、新専門医制度──
医者たちの現場の声を無視し、厚労省は反対を押し切って制度を強行しています。
その目的は患者の利益ではなく、省内の権限や利権の拡大です。
その失敗が明らかになっても、見直すことなく突き進む様子は、まさに「現代のインパール作戦」と言えます。


医療だけが営利禁止の矛盾

医療機関には営利が禁じられている一方で、調剤薬局・製薬会社・介護施設・人材紹介業などはその対象外です。
それらは数千億円規模で証券市場に上場し、巨額の政治献金を行っています。
結果、医療費は患者のためではなく企業が肥え太るために消えているというケースがますます増えています。
しかも彼らはマスコミの有力スポンサーでもあるため、「医療費の増大は医師が儲けすぎているせい」という誤った印象操作が当然のように流布されています。


歪んだ「チーム医療」

薬剤師や看護師などの非医師医療者をコメディカルと呼びます。
医者とコメディカルは対等の立場で協力すべきとの「チーム医療」がコメディカルより叫ばれる一方、現場では医師だけが最終責任を負わされています。
タスクシフトやリフィル処方は、本来の目的である業務の効率化とは裏腹に、責任だけを医者に押し付ける制度となっています。
権限や報酬は分担されるが、リスクは医者だけが引き受ける──そんな不平等さが今の「チーム医療」の現状です。


異常な診療報酬の低さ

医者の診察料はたった730円──先進国としては異常な低価格です。
最低賃金との比率で見ると日本は0.74倍と、韓国・台湾の半値、アメリカやカナダの10分の1です。
「検査や薬で利益を得ている」と言われますが、平成以降、そうした差益は実質的に存在しません。
むしろ、急激な物価上昇により基本的な検査すら原価割れしているのが現実です。
医療器材すら買えなくなり、先進国水準の清潔で安全な医療が維持できなくなってきています。


応召義務と医療費踏み倒し

日本の医師には応召義務があり、たとえ支払い能力のない患者にも診療を拒めません。
実際、医療費の未払いは日本人で0.7%、訪日外国人で7%にも上ります。特に入院医療で顕著です。
海外では「支払いができなければ治療も受けられない」のが常識ですが、日本だけが例外です。
未払いの損金は病院が被ります。現在、病院の6割が赤字です。
コンビニや本屋が万引きで潰れるように、病院ももう未払いを補償する体力がなくなっています。


不安定な待遇と雇用

医者に終身雇用はなく、医局人事での転勤を繰り返す生活には退職金も昇給もありません。
もはや生涯賃金は大手企業の会社員を下回るほどです。
かつては独立開業が医者のキャリアゴールでしたが、それすら困難となり、高齢になっても過酷な勤務医生活を続けざるを得ない状況です。
また、若手の医者も新専門医制度の導入により研修期間は延び、出産や育児との両立が困難になっています。


日本医師会の弱体化

かつて日本医師会は武見太郎のもとで圧倒的な政治力を持っていましたが、それは60年前の話です。
現在は、その息子・武見敬三が父の七光りのもと長年政治家を務めましたが、すっかり政府の犬となり果てました。
彼は医者の権利をないがしろにしているにもかかわらず、医師会は彼を切れずにいます。
その結果、医師会は厚労省どころか薬剤師会や財務省にも屈する、極めて弱腰な存在になっているのが現状です。


実質的には上がっていない診療報酬

診療報酬は名目上引き上げられたとされますが、実際には加点に多くのコストや手間がかかり、むしろ実質的な減額です。例えば、診療報酬1単位を得るために、2単位分の人件費や設備コストを負担させられるような構造が当たり前になっています。
消費税増税分は病院が負担しており、控除されることはありません。そして物価高の影響も補填されず、病院の6割は赤字となりました。
数字上の「増額」が現場の苦しさを覆い隠しています。


医療訴訟と制度疲弊

医療訴訟は増加の一途をたどり、損害賠償は億単位にも及びます。
要介護高齢者のように逸失利益が見込めない患者に対しても、高額な賠償請求が行われています。
弁護士は収入確保のため訴訟を煽り、公立病院は「世間体」を優先して高額な和解に応じる。
今の医療機関には、訴訟に耐えうるだけの体力も余力も残っていません。


結論:問題の本質は医師ではない

医者が「儲けすぎている」のではありません。
問題の根本は、

  • 高齢化により現役世代が高齢者を支える構造が破綻したこと
  • 日本という国自体が貧しくなり、先進国水準の医療を支えられなくなったこと

にあります。これは長年にわたる政治の失策です。

それを認めず、医者に責任転嫁をする政治家と官僚たち――
我々は、もう黙ってはいられません。

医者が人間らしく働き、患者に最善を尽くせる環境を守るために──
ニッポン医者の会は立ち上がります。